鰻の味 - 丑の日物語
夏本番、夏のスタミナ源といえば、うなぎでしょう。
ビタミン、ミネラルなど栄養素が豊富。夏バテ解消、美容効果もある。
古くは、万葉集に、
"石麻呂に 吾物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻(むなぎ)とり食(め)せ" - 大友家持
昔から、日本人は、うなぎが体にいい健康食であることを知っていた。
今年の土用の丑の日は、7月26日(月)。
鰻ありき
では、なぜ、土用の丑の日に、うなぎを食べるのか。
江戸時代、夏なのに流行らないうなぎ屋に相談された才人、平賀源内、
"本日土用丑の日"と書いた看板を店の前に掲げたところ、
客が次から次へ来るようになった、といいます。
今でいえば、名コピーライター。
宣伝コピーが、日本の風俗、文化として定着する。
クリエイターとして、こんな痛快なことはありません。
うなぎには、クリエイティブな人を魅了し、覚醒させる特別な何かがあるのではないでしょうかね。
南青山の住人、「万葉秀歌」でおなじみ、歌人の斎藤茂吉のうなぎ好きは有名。
蒲焼を食べる毎に日記につけ、その数、24年で902回。
夏目漱石をして正岡子規を語るとき、「正岡の食意地の張った話か。・・・僕は蒲焼の事を一番よく覚えて居る。」
松山で、夏目漱石の家の居候となった正岡子規、肺病を抱えながら、いつも勝手に蒲焼を取り寄せて食べては、
そのお代は夏目漱石につけていたといいます。
日本を代表する映画監督、小津安二郎。彼の手帳はグルメガイド、行きつけの料理屋がずらり。
なかでも、うなぎは殊にお気に入り。銀座 竹葉亭、飯倉 野田岩、南千住 尾花、駒形橋 前川、
日本橋 喜代川、大江戸、八重洲 はし本、赤坂 重箱、麹町 秋本、浅草 小柳、深川 宮川、
と今も続く名店ばかり。
"世の中には安くておいしいものがたくさんある" といっていた小津の映画は、平凡なありふれた日常生活を
シンプルに描き、時代が変わっても変わることのない人の普遍的な情感を浮き彫りにしていきます。
また、村上春樹は、あるインタビュー「柴田元幸と9人の作家たち」でこんなことをいっています。
村上:僕はいつも、小説というのは三者協議じゃなくちゃいけないと言うんですよ。
柴田:三者協議?
村上:三者協議。僕は「うなぎ説」というのを持っているんです。僕という書き手がいて、読者がいますね。
でもその二人だけじゃ、小説というのは成立しないんですよ。そこにうなぎが必要なんですよ。うなぎなるもの。
青山でうなぎを楽しむならここ、青山 伊豆栄。
(→ 申し訳ありません。2010年8月に閉店となりました。)
東急ステイ青山プレミアから、徒歩3分。
青山通り、南青山3丁目交差点から表参道に向かった左側のB1。
営業時間: 11:30 -14:30 17:00 - 22:30 日休
骨、肝、ひれ、蒲焼、白焼き・・・、
うなぎをを味わい尽くすコース、"うなぎめぐり"もあります。
うなぎは、単に健康食ではありません。クリエイティブな感性を刺激します。
Text by T.Minobe














